サニーブライアンを気持ちよく逃がしてしまった他の騎手がいけない、と言う声も聞くが、それは必ずしも正しいとは限らないと思う。7年前、アイネスフウジンが逃げ切ったダービー。この時は、武豊鞍上の皐月賞馬ハクタイセイが、アイネスフウジンを捕まえに早々に仕掛けて勝負を挑んだ。結果、ハクタイセイはアイネスフウジンに大きく差を空けられた5着に沈んだ。ハクタイセイとは対照的に、最後の最後まで足をため、直線に賭けたメジロライアン(メジロブライトの父)は、今年のシルクジャスティスのように、わずかに届かず2着であった。
どこかのトラックマンがサニーブライアンを本命に推していた。その理由は、「自分でレースを作って、勝利をもぎ取ることができるのはこの馬だけ」と言うものであった。得てして実力馬が逃げ切るときというのは、あっけない幕切れを迎えるものなのかもしれない。今年は、逃げ馬が実力馬であると言うことを(私も、半信半疑であったし)、大半の予想が見抜けなかったのだと思う。
一方、二冠馬と言う目標を失った他陣営の、菊へ向けた戦いが始まる。ダービー2着、3着のシルクジャスティス、メジロブライトは、やはり菊戦線の主役を務めることになるだろう。
ダービーで除外となってしまったシルクライトニングは、落鉄(蹄鉄を外してしまうこと)を起こし、外れた釘で外傷を負ってしまったとのこと。この馬の巻き返しには、ぜひとも期待したい。出直しとなったラジオ短波賞では敗れてしまったが、外傷自体の影響はなさそうである。またグリーングラス、メジロマックイーンのような夏の上がり馬も、虎視眈々と狙って来るであろう。これからが楽しみである。
そして、もう函館・新潟・小倉では、来年のクラッシック戦線を目指して、3歳戦が始まった。一昨年の3歳戦最初の勝ち名乗りを受けたビワハイジが、昨年、ダービーまで駒を進めたように、もう来年のダービーへの戦いは始まっているのだ。来年、東京競馬場の最後の直線を最初に駆け抜けるのは、どんな馬なのだろうか。今から楽しみである。
と言うことで、随分と時間がかかってしまった第64回ダービー観戦記は、これで終わりです。長々と好き勝手書いてきまして、申し訳ありませんでした。それでも、最後までお付き合い頂いた方に、感謝申し上げます。