総評(怪鳥の独断と偏見)〜秋へ、来年へ


総評(怪鳥の独断と偏見)

 こうして第64回東京優駿(日本ダービー)は、7年ぶりの関東馬勝利で幕を閉じた。夜のスポーツニュース、翌日の一般紙、スポーツ紙。これらがこの大レースの模様・結果を一斉に報じた。

 サニーブライアンを気持ちよく逃がしてしまった他の騎手がいけない、と言う声も聞くが、それは必ずしも正しいとは限らないと思う。7年前、アイネスフウジンが逃げ切ったダービー。この時は、武豊鞍上の皐月賞馬ハクタイセイが、アイネスフウジンを捕まえに早々に仕掛けて勝負を挑んだ。結果、ハクタイセイはアイネスフウジンに大きく差を空けられた5着に沈んだ。ハクタイセイとは対照的に、最後の最後まで足をため、直線に賭けたメジロライアン(メジロブライトの父)は、今年のシルクジャスティスのように、わずかに届かず2着であった。

 どこかのトラックマンがサニーブライアンを本命に推していた。その理由は、「自分でレースを作って、勝利をもぎ取ることができるのはこの馬だけ」と言うものであった。得てして実力馬が逃げ切るときというのは、あっけない幕切れを迎えるものなのかもしれない。今年は、逃げ馬が実力馬であると言うことを(私も、半信半疑であったし)、大半の予想が見抜けなかったのだと思う。

秋〜菊花賞〜へ、そして来年のダービーへ

 三冠レース、その全てを逃げ切った三冠馬はいない。惜しくも菊花賞2着に敗れたミホノブルボン以来、その記録に挑む権利を得たサニーブライアンであったが、速報でも書いたとおり、レース2日後に骨折が判明した。翌々日の朝刊で、元気な姿を見せていただけに、残念である。幸い、全治6カ月でターフに戻ってくるとのこと。調整などを考え、復帰は来年春になるようだが、ぜひ天皇賞(春)や宝塚記念を目指して頑張って欲しいと思う。

 一方、二冠馬と言う目標を失った他陣営の、菊へ向けた戦いが始まる。ダービー2着、3着のシルクジャスティス、メジロブライトは、やはり菊戦線の主役を務めることになるだろう。

 ダービーで除外となってしまったシルクライトニングは、落鉄(蹄鉄を外してしまうこと)を起こし、外れた釘で外傷を負ってしまったとのこと。この馬の巻き返しには、ぜひとも期待したい。出直しとなったラジオ短波賞では敗れてしまったが、外傷自体の影響はなさそうである。またグリーングラス、メジロマックイーンのような夏の上がり馬も、虎視眈々と狙って来るであろう。これからが楽しみである。

 そして、もう函館・新潟・小倉では、来年のクラッシック戦線を目指して、3歳戦が始まった。一昨年の3歳戦最初の勝ち名乗りを受けたビワハイジが、昨年、ダービーまで駒を進めたように、もう来年のダービーへの戦いは始まっているのだ。来年、東京競馬場の最後の直線を最初に駆け抜けるのは、どんな馬なのだろうか。今から楽しみである。


 と言うことで、随分と時間がかかってしまった第64回ダービー観戦記は、これで終わりです。長々と好き勝手書いてきまして、申し訳ありませんでした。それでも、最後までお付き合い頂いた方に、感謝申し上げます。



 よろしかったら感想をお寄せ下さい。


 もくじのページに戻る  前のページへ戻る